2億円資金調達し、NFT発のIP創出でグローバルに挑戦 microverse株式会社CEO渋谷さんインタビュー

2億円資金調達し、NFT発のIP創出でグローバルに挑戦 microverse株式会社CEO渋谷さんインタビュー

更新日 2023/02/24

目次

microverse株式会社CEOの渋谷さんにインタビューさせて頂きました。
創業から今の事業に至るまでの経緯について伺いました。
渋谷さんが掲げる大きなビジョンとmicroverse社の手掛けるNFT事業が延長線上にあることに感銘を受けました。

渋谷啓太さん  | microverse株式会社CEO
2019年ごろよりブロックチェーン領域で活動。これまでにプライバシーテックやブロックチェーンスタートアップなどで、事業者向けのソリューション構築やコンシューマー向けのサービス展開など幅広いキャリアを積む。2022年2月からmicroverseの事業を開始し、現在はNFT発のIP/コンテンツ創出事業を手掛ける。

50歳までに1兆円の財団をつくる

本日はよろしくお願いします。
PIVOTを拝見していて、壮大なビジョンが魅力的だなと思っておりました。
その背景など、詳しく教えて頂けますか?

50歳までに1兆円の財団をつくる microverseCEO渋谷啓太さん

「50歳までに1兆円の財団をつくる」というビジョンを持っています。
格差が固定化している社会を直したいと思っていて、格差には流動性を持たせるべきだと考えています。
どういうことかと言うと、生まれた環境がよければ再生産によってお金や自由を手にしやすいという構造が現代社会の現状だと思います。

たとえば、東京の所得の高い家に生まれた子どもは、小さい頃から親に導かれて、自分の意志がないままなんとなく塾に入り、偏差値が高い大学に入り、そのまま就職活動をして、年収の高い企業に入りやすいです。

一方で、田舎のお金がない家庭環境で生まれた子どもは、周りにサポートしてくれる人がいないと、小さい頃に勉強したくても塾に行けず、地元で中卒・高卒で現場仕事になってしまい、夢があったとしても諦めてそのまま地元で生活するしかありません。

統計的に見ても生まれた環境によってその後の人生は再生産されやすいといった趣旨の本があります。
これが格差が固定化されている状態です。

ぼくは、どんな環境であっても自分の願いやこうなりたいという思いに従って必要な教育やお金の支援が得られ、心おきなく選べる社会にしたいと思っています。
この世界では競争がフェアになります。
シンプルに生まれた環境やお金に関係なく平等に塾や学習コンテンツにアクセスできるようになれば、あとはやる気次第です。
良い大学に行く、ビジネスをやるための資金を得るなども競争環境がフェアになります。
そうなると、生まれた環境ではなく、能力に応じた格差になります。
これが格差に流動性がある社会です。

そのために壁になっているのがお金と教育です。
まずは、お金のハードルを取り除きたいと思っています。
ぼく自身が、親からの養育費が止まり大学に通い続けられなくなるという経験をしました。
またぼくの周りに、研究者やピアニスト、女優になりたいという友達がいました。
そういった人達が芸を極めるための費用を援助する、お金のハードルを取り除くための資金援助する財団を作ることが僕の目標です。

ブロックチェーンとの出会い

その決意をしてから、起業に至るまでの経緯を教えてください。

最初は、財団を作るとは決めたものの、何をするかは全く僕の中で決まっていませんでした。
大学を休学した後、起業してどんなビジネスをやるか調べる中で、出会った一つがVALUEでした。
VALUEの仕組みにとても感動したんです。
個人が仮想通貨を発行し、自分の夢ややりたいことをベースにお金を集められる、個人版株式のような仕組みで、これは僕が作りたかった世界線に近いと思いました。

VALUEを調べていると裏にブロックチェーンというテクノロジーがあることが分かってきて、2020年頃にサトシナカモトさんのビットコインのホワイトペーパーを読みました。
そこに通貨発行権の民主化について書かれているのですが、これにとても衝撃を受けました。
今までは日本銀行やアメリカの中央連邦銀行などの国に付随する機関しか紙幣は刷れなかったので、経済圏を創出できるのは国や行政のみでした。

ブロックチェーン上では誰でも発行元になれ、その思想に賛同してくれる人が集まれば、誰でも経済圏・コミュニティー、ある種国家のようなものを作れるという思想です。
これは凄いと思ってブロックチェーンにはまりました。

その後、NFT領域で事業をやろうと思ったきっかけを教えてください。
どういう流れで今の事業に辿り着きましたか?

ブロックチェーンに興味を持ってから、それに関わるような会社で1年半くらい働いていました。
2021年の初頭くらい、丁度2年前くらいにNFTのブームが来ました。

NFTのブームを見て思ったことは、1点目は思想が合うなと思いました。
仮想通貨は稼ごうと思えば原資がないと稼げません。
でもNFTは、原資がなくても能力があれば稼げるテクノロジーなんです。
例えば、上手なデジタルアートが書ければ、熱狂的なファンを集められます。

2点目は、事業をやる上での勝ち筋を描けたからです。
NFTはデジタル上のモノなので、用途が幅広いです。
エンタメのIPコンテンツや不動産、チケットなどの権利に紐付けられるので、マスに届きやすく、事業としてチャンスがあると思いました。

また、日本で事業をやる前提で考えた時に、法律や税制、会計の面で足かせになるポイントが少ないと判断しました。
この業界のビジネスでは、法や税制によってある日突然ビジネスがつぶれるリスクがあります。
NFTにおいては証券のような使い方をしなければ問題ありません。

起業に至るまで、何社かインターンの修行期間を経てとのことでした。
double jump.tokyo(以下:DJT)さんの時はどのようなお仕事をされていたのですか?

ソニーさんの案件をメインで担当していました。
ソニーさんのNFTのマーケットプレイスの開発ディレクターや、ソニーミュージック、ソニーピクチャーズさんのIPをどう引っ張ってくるかといった仕事です。

あとはDJT時代にもう一つ手がけた大きい仕事として、金融庁との折衝をやっていました。
ソニーさんの案件で暗号資産交換ライセンスが必要なのではないかという懸念が出てきました。
DJTの顧問弁護士と一緒にどんなスキームでやればリーガル的に問題ないかという整理をし、金融庁のフィンテック担当の部門に照会をかけて承諾をもらうという仕事を行っていました。

他にも、LINEさんが出しているブロックチェーンのマーケティング、NFT配布ソリューションの事業の立ち上げ、電通さんとのアライアンスの仕事をやっていました。

大きなクライアントが多くてすごいですね!
これは、ぼくが能力があったからではなくて、ラッキーなことに当時人がいなかったんですよ。2021年当時は盛り上がっていたのですが、そこにチャレンジする人が少なかったです。
DJTのCOOの松谷さんが直属の上司で、その中でto Bワークをする人が少なかったです。
やらせてくださいと手をあげて、ボールを回してもらいました。

その中で今起業して事業をやっている上で生きた経験はありますか?
当時の経験がかなり活きています。
大きなクライアントが多かったので、日本のトップを動かすにあたってどうweb3の話を進めればよいのかを経験させてもらい、すごく勉強になりました。

web3の新事業は、経済合理性だけでは話が進みません。
資産計上をどうするかといった会計や税制面を整備しなくてはならなかったり、
秘密鍵・ウォレットの管理をどうするかなどの問題をクリアする必要があります。
アライアンスで 話をまとめる力が身につきました。

その他の会社で生きた経験はありますか?
ベクトル子会社のPriv Techで働いていたのですが、そこでの経験が大きいです。
事業立ち上げをやらせてもらった経験が今に活きています。
プロダクトの立ち上げから、ニーズを獲得しどう売っていくか、プロダクトの今後の方向性をどうするかといった一連のスキームをやらせてもらいました。
現ベクトル副社長の長谷川さんから仕事を任せて頂き、そこで上場企業の意思決定の方法を学びました。
また、裏側の仕組みでブロックチェーンを使っていたので、そこのリサーチをやらせてもらいました。

NFT発のIPコンテンツ創出事業

microverse NFT初のIPコンテンツ創出事業

今の事業内容について教えてください。
NFT発のIPコンテンツ創出事業が今のメインです。
NFTプロジェクト発で新しいゲームやアニメやキャラクターをIPコンテンツを作っている会社と一緒に作っていきます。
コンテンツ、好きなものや思想を起点とした多様な経済圏を作っていくというのが僕らのミッションです。

NFT発のIPコンテンツを中心とした経済圏を多数創出して、経済圏が有機的に多面的に繋がりあった状態を目指していきます。

web3の良さは、コミュニティがプラットフォームに縛られないことです。
今までは、twitterはtwitterの中のみ、instagramはinstagramの中のみといった縛りがありました。
ブロックチェーンという共通データベースを基盤にコミュニティやサービス、経済圏を跨げることがブロックチェーンの強みです。

コラボやこのNFTを持っていたらこっちでも遊べるといった有機的な繋がりを作っていきます。
ユーザーさん、クリエーターさん、ファンやその他ステークホルダーが自分の好きなもの、居心地の良い経済圏を選択できる世界を作っていきます。
これがぼくらがこの事業を通して目指している世界です。

CryptoPokers(クリプトポーカーズ)

その最初の事例がクリプトポーカーズです。
これはweb3上のポーカー好き達がコミュニティを作っていって、web3コミュニティ発の世界的なポーカーの大会を作るというプロジェクトです。

テキサスホールデムというポーカーのルールでは、最初に2枚のカードが配られます。
その2枚の組み合わせが1326通りなのですが、1326のNFTを発行してホルダーさんだけが参加できる仕組みです。その売上を運営費に充てながら、新しいポーカーコミュニティや世界的なトーナメントを作っていきます。
まさにポーカー好きによるポーカー好きのためのコミュニティがクリプトポーカーズです。

公式サイトURL:https://crypto-pokers.club
公式TwitterURL:https://twitter.com/CryptoPokersNft

今後はクリプトポーカーズのようなプロジェクトをたくさん立ち上げていくのでしょうか?
はい。今2つくらい仕込みがありますし、どんどんやっています。

NFTの本質とは

microverse の事業

創業初期の事業は、NFT開発支援サービスのステラでしたね?
以前は、「Stella(ステラ)」というNFTプロジェクトのプロデュース/販売支援事業を行っていました。
これは、NFTの新規IPやコンテンツ立ち上げを発行、販売、管理、コミュニティ運用まで一気通貫してサポートするAPIベースのプロダクトです。

方向転換した経緯を教えて頂けますか?
一貫して、IPコンテンツ作りをしていくという点では変わりありません。
ステラというツールを売るよりもIPコンテンツの創出をメインでやるフェーズに来たと判断したからです。
今でもステラAPIを使っているので、これは見せ方の問題でもあります。

なぜこの方向になったかですが、NFTの本質をより活かした事業に挑戦すべきだと考えたからです。

NFTの本質は2つあると思っています。
1点目が資産性、データを保有してコミュニティが盛り上がると資産価値が上がる点です。
2点目は、アイデンティティ証明です。
これは何かというと、たとえばツイッターのアイコンのように、NFTを保有することが
ファンである証や応援していた証になります。

例えばワンピースが一番最初に生まれたタイミングで尾田栄一郎先生がワンピースの書き下ろしNFTを作ったとします。
最初の100枚の中の1枚をぼくがもし持っていたらその資産価値は高いです。
ファンコミュニティの中で、新規ファンは映画を見て好きになったかもしれないけれど、
一話目から応援していたというアイデンティティとして証明できます。

NFTは長期的にファンと関係性を作るという意味で、資産性として0から1という新しいところと相性が良いのではないかという思想に至りました。
それが、既存のIPとかコンテンツをNFT化するよりも新規でIPやコンテンツを作っていく理由です。

NFTの本質とは microverse

またこうしたスキームをつくることによってIPコンテンツ作りが民主化されると思っています。
どういうことかというと、今までは新しい映画やアニメをつくるとなると、制作委員会が組まれ、一部のお金がある企業同士が出資をして、そこに参画できる一部の映画監督やクリエーターさんが働いてアニメとかのコンテンツができます。
NFTの発行からスタートすると、だれでもお金を集められ、どんなクリエーターさん、ステークホルダー、どんな企業でも新しいエンタメ作りに挑戦しやすい土壌ができました。
これがNFTが起こした革命だと思っています。
やはり0→1に対してNFTを使うのが相性が良いと思うに至ったという経緯です。

今後の目指すところを教えてください。
事業戦略として、直近半年は、IPコンテンツ作りの種作りを成功させるというのがミッションです。

microverse社の様子

microverse社内の様子

次に、会社の様子について教えてください。
今、チーム全体では何人ですか?

業務委託含めて、13人です。
エンジニアとビジネスサイドが5:5くらいです。

会社のメンバーはどこに惹かれて入ってくることが多いですか?
開発側は趣味でブロックチェーンを触っていた人が、仕事としても使ってみたいエンジニアが多いです。
ビジネスサイドは多様ですね。将来自分で事業をやってみたい、起業したいといったメンバーが多いです。
起業したい人もウェルカムです。

NFTプロジェクトのPdM、マーケッターについて

今後募集されるポジションを教えてください。
事業側ではNFTプロジェクトのマーケター、PRのプランナー、全体の意思決定をするプロデューサー、プロジェクトのPMといったディレクターのポジションが今後採用のメインになります。
コーポレート側では、採用担当、コーポレートブランディングを任せられる広報を募集しています。

プランナーやプロジェクトのディレクターは普段どういった仕事をしていますか?
ディレクターは、プロジェクトマネジメントが主な仕事です。
クライアントの要件を整理して、作るべきものをクリエーターさんや開発側に投げて進行管理をしていき販売に間に合わせます。

PRプランナーは、主にtwitterやDiscordを使いながらプロジェクトの情報をどう公開していくか戦略設計をして実行します。
実際に認知されているか、twitterが伸びているかを追いながらプロジェクトのPRマーケットに責任を負います。

今どのような仕事をしている人が向いている、マッチしそうだと思いますか?
ディレクターは、to C向けのプロダクトのPMで機能改善をやっていたような方が向いているかと思います。
プロダクトに限らずD2CブランドのマーケやゲームのPRやマーケをやっていた方は相性良いです。

D2Cプロジェクトのマネジメント、商品を作る上でのPMや、次の商品を工場に発注してマーケ側とすり合わせをしてパッケジングしてといったPM業務をやっていた方などはマッチします。

PRもPMもNFTやweb3の知識は求めていません。
社内でオンボーディング用の、入社後にキャッチアップしてもらいます。
学習ロードマップ https://microverseinc.notion.site/1a61973bfe0f4844858a144e3cb839c1

とてもわかりやすいですね!
社内のオンボーディング用に作られたのでしょうか?

ぼくがブロックチェーンを勉強したいけれど、何をしたらよいかをよく聞かれるんです。
なので、ぼくが一番最初にやったことをまとめました。

入社後に現場で活躍するまで、どういった流れかを教えていただけますか?
新しい領域なのでやりながらキャッチアップになります。
基本的には入社してすぐに簡単なタスクを実行してもらいます。
あとは各タスクがオンボードできるような資料を用意してあるので、それをみながらやってもらいます。
アウトプットを見させてもらいながら、だんだんマネジメントする側も口出しせずに任せて、これを伸ばして等の落とし方をしています。

社内はとても自由度が高いです。microverseでは熱源が自分の中にあり、自分でキャッチアップしながら自走して実装出来る人が多いです。
そういった人がマッチするかと思います。

起業したい人はウェルカムです。
先日は資金調達に向けた準備をnotionでまとめて、生々しく資金調達で使った資料や契約書まわりを見せて、どういうアプローチをしたかを社内向けの勉強会でやりました。
スタートアップで起業したい人にはおすすめです。

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
2億円の資金調達も発表され、microverseでは今も複数の新プロジェクトを立ち上げ中です。
microverseの募集については、下記から詳しい求人情報を確認できます。

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