上場企業だからこそマスアダプションを目指すWeb3の戦い方 セプテーニ・インキュベート

上場企業だからこそマスアダプションを目指すWeb3の戦い方 セプテーニ・インキュベート

更新日 2023/02/03

目次

今回は、株式会社セプテーニ・インキュベート取締役の斉藤さんにインタビューさせて頂きました。母体のセプテーニグループさんは、デジタルマーケティング事業を主軸に展開していますが、新規事業開発を手掛けるセプテーニ・インキュベートでは、ブロックチェーン、NFT周りの事業を創出していて、既にかなりの取り組み事例があります。

斉藤さんは、Web2では、広告、アプリ、D2Cなどの事業に携わっていらっしゃいました。
Web2からWeb3へ事業領域を移す中での変化や、上場企業のグループ会社としての規模アセットが活かせるからこそ、マスアダプションを目指していく事業展開についてお話を伺いました。

斉藤 彼野人さん | 株式会社セプテーニ・インキュベート 取締役
株式会社セプテーニ・インキュベート 取締役
2013年新卒でデジタルマーケティング事業を展開するセプテーニに入社。
その後、新規事業の責任者、システムディレクター、事業会社の代表として従事する過程で、デジタルマーケティング事業、スマートフォンアプリ開発、D2C事業など10以上のサービス立ち上げに関わる。セプテーニ・インキュベートにてセプテーニグループにおける新規事業の推進とイントレプレナーの育成担当。現在はブロックチェーン・NFT関連のビジネス促進に注力中。

Web3・クリプトに入ったきっかけ

本日はよろしくお願いします。まず、最初に斉藤さんがWeb3、クリプト領域と出会ったきっかけは何でしたか?
2014、2015年くらいにビットフライヤーが出していた「口座開設で500円分のビットコインをプレゼント」という広告を見て口座開設したことがきっかけです。しかし、その後は触っていなかったんですよ。
2017年のバブル時にはその500円分のビットコインが1万円を超えていて、現金を入れておけばよかったと思いました。
アルトコインの売買などもしていたのですが、完全に投機的なものとしか見ていませんでした。

本格的に事業として取り組み始めたのは2020年末くらいです。
当時、新規事業のメンタリングもやっていて、ライセンスビジネスを検討していました。その中でブロックチェーンを使って何かできないかという話になり、改めて詳しく調べ始めたという流れでした。
その後、2021年頭くらいからNFTがバズったので、5月くらいから再び本格的に調べはじめました。サンプルプログラムを触って自分でも実装したら、技術的に初めて理解が出来たんですよ。そこですごさに気づいて、どっぷりハマりました。
仕事としても、最初はNFT事業のメンタリングをしていましたが、自分で事業責任者としてフルコミットすることになりました。

他にもSolana Japanが月1回ミートアップを開催していて、ボランティアの運営スタッフとしてお手伝いしてさせていただきました。
そこで業界の最前線を走っている人から直接教えて頂く機会があり、どんな本を読んだらいいのかなどブロックチェーンのイロハを教えてもらいました。
第一線の人に教えを請えたのはかなり大きかったです。

私もいつも斉藤さんの資料を拝見していて、とても勉強させて頂いています!
かなり初学者にもわかりやすくまとめて頂いていますね!

ありがとうございます。インプットとアウトプットを両軸で回した方が学習効率が良いので作成していたのですが、お客さんに説明するときや従業員育成などにも役立てています。

セプテーニグループは主力事業がWeb2領域なので、啓蒙するために社内でWeb3サロンを立ち上げました。セプテーニは、グループ会社がたくさんあるので横串で情報共有して啓蒙していった方が事業が生まれやすいんですよ。
月1回ランチミーティングの場で、ぼくが仕入れた情報をアウトプットしてるのですが、
その機会にWeb3とは何かを体系的にまとめました。
当時は体系的な情報がなく、自分で苦労した部分を整理しています。

仕事面の変化について聞かせてください。
Web2では広告、アプリ、D2Cなどの事業を手掛けていらっしゃいました。Web2からWeb3に移って変化はありますか?

今までのキャリアを活かせている部分が大きいなと感じています。
Web3の技術スタックは、プロダクトの種類にもよるのですが、基本的にはWeb2のものがベースとなっていることが多いです。
ぼくは今までアプリ開発のディレクションなどの仕事が多かったのですが、そこから大きくは変わらずにデータベース周りでブロックチェーンをいじる時にWeb3の知見を使います。
業務の7〜8割はWeb2の技術スタックなので、これまでの経験をかなり活かせています。

一方で、マネタイズとかビジネス構築の仕組みは全く違います。
トークノミクスを使ったマネタイズやビジネスモデルの設計などは、Web3ネイティブに考える必要があります。
かなりこれまでとは頭の使い方を変える感覚があり、Web2ビジネスのような考え方はアンラーンする必要があります。

Web3領域のコンサルティング、マーケティング支援

今の事業について教えてください。
コンサルティング、マーケティング支援、自社プロダクト開発の三軸です。

クライアントワークでは、NFTプロジェクトやWeb3ビジネスをする人達をクライアントとした、マーケティング支援をしています。
これからNFTに進出していきたいというクライアントに対して、コンサルティングやPoCの開発をしたり、
従来の広告的な手法ではなくて、コミュニティマーケティングのお手伝いをしています。

これは単純に受託というよりPoC開発のような形で、ブロックチェーンでユースケースを作っています。
まだWeb3はこうやれば成功するという型がないので、クライアントに寄り添いながら一緒に事業開発していきます。

Web3マーケティング支援ツール「ocean dict」

Web3マーケティング支援ツール「ocean dict」

自社プロダクトでは、ocean dictというトークングラフマーケティングをサポートするSaaSプロダクトをリリースしました。
twitter、DiscordなどのSNS情報とオンチェーンのアクティビティを紐づけて、各ユーザーのコミュニティ貢献度を可視化できるツールです。

自社でNFTプロジェクトを運営をしていく中で、GiveawayやAirdropなどのマーケティング施策のオペレーションに課題がありました。
Botの排除や、twitterのFav、RTの参加条件を満たしているか、Discordの参加状況、NFTの保有の有無など、これまで大量の申込みを目視で確認しなければならなかったものを、ocean dictでは自動化できます。

また取得したトランザクションデータをマーケティング分析に活用できます。
こういったGiveawayやAirdropの施策は認知拡大でパフォーマンスを発揮する一方で、エンゲージメントが低いユーザーや捨てアカウントやBOTも紛れ込んでしまい、本来大切にしたいエンゲージメントが高いユーザーが埋もれがちになっています。
データドリブンでエンゲージメントが高いユーザーを発見し、評価していくことで、プロジェクトのみならずエンドユーザーにとってもオンチェーンアクティビティから便益を受け取れる世界観を作っていきたいと考えています。

Web3領域のコンサルティング、マーケティング支援 セプテーニインキュベート

総じて、Web3ビジネスをする人たちの事業開発やマーケティング支援をしています。
クライアントとしては、Web3に進出していく大手企業など上場企業とご一緒するケースが多いです。
上場企業のガバナンス下で、Web3ビジネスをやる体制が整っていない企業はたくさんあります。
たとえば、イーサリアムの売上計上であったり、秘密鍵の管理などです。
セプテーニグループ自身が上場企業としてWeb3ビジネスとその体制を作ってきたので、そのノウハウを活用し、ビジネスからガバナンス構築をオールインワンでサポートしています。

クリプト人口はまだ1%程度なので、大手企業が持つアセットを活かして外から人を誘致したい、マスアダプションするような新しい事例を作っていきたいと思っています。

開発現場の様子

セプテーニインキュベート 開発現場の様子

次に、会社の様子について教えてください。
人数は何人くらいでしょうか?

今チームの人数はアルバイトと業務委託含め10名くらいです。
クライアントワークの担当が全体の3~4割で、Bizdev中心です。お客様のコンサルティングやプロジェクトマネジメントに近いこともやっていきます。
残りの6~7割がプロダクトチームです。1名がデザイナーで他はエンジニアです。

今事業部で働いている方は元々セプテーニのグループ会社に居た方も多いのですか?
3割くらいです。グループで働いているかというよりもWeb3が好きだという人と一緒に働きたいと思っています。

ギークなこだわりがある人と働きたい

現在、セプテーニインキュベートさんでエンジニアとBizdevを募集されています。
どんな会社でどういう仕事をしてきた人がフィットしそうでしょうか?

エンジニア職については、Web2でReactなどフロントの技術を持った人です。
スマコン周りの実装もあるのですが、我々で言うと開発ボリュームの中のメインというわけではないので、Web2のフロントエンドで経験を積んだ人であればそのままWeb3でも入って行けると思っています。

Bizdevでは、プロダクトマネージャー(PdM)と企画提案の仕事があります。
PdMについては、アプリ開発のディレクションができる方です。 
企画提案については、クライアントワークで広告主に提案していた方は特に向いていると思います。
広告代理店でキャンペーンを考えるようなマーケティングの思考に似ていて、それを広告を使わずにコミュニティマーケティングでやりますといった提案をしています。

誰と働くかを非常に大事にしていて、ギークな人、良い意味でこだわりがある人たちと一緒に働きたいです。
ものを良くするにはエッジが効いてるというか尖っていることって大事だと思っていて、そういう人材を求めているし、重要視していますね。

業務委託でのジョインも可能ですか?
エンジニアとBizdevともに業務委託可能です。
エンジニアの中には週2日稼働のメンバーもいます。

入社後に転職されてきた人はどのようにキャッチアップしていますか?
まず前提として英語とWeb3ネイティブな知識かなと思っています。
特に英語力はかなり求められていますね。
僕も英語をしゃべれるわけではないのですが、DeepLなどを駆使してもよいので、海外情報をいかに早くキャッチアップできるかが重要です。

あとは座学だけでなく、実際に触っているかどうかがかなり重要です。
たとえば、自分で買ったりとかMintしてみたりなど、大きいお金をかける必要はないですが、身銭を切って何かトランザクションを残しているかどうかです。
それをやっているかいないかで、解像度がかなり違います。

現場に入って活躍するまでの流れを教えていただけますか?
これまで入社した方は、Web2でも活躍してきた人たちなので、そのままオンボーディングで入っています。
人によっては学習期間を設けて足りていない部分を勉強してもらうこともありますが、そこまでハードルは高くないかと思います。

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
上場企業のグループ会社ならではの、スタートアップでの事業立ち上げとは違う頭の使い方をするとおっしゃっていたことがとても印象的でした。
株式会社セプテーニ・インキュベートの募集については、下記から詳しい求人情報を確認できます。

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